空き家を売る方法は?メリット・デメリットや売却時のポイントも解説

空き家を売る方法は?メリット・デメリットや売却時のポイントも解説

空き家を所有している場合、売却するか賃貸に出すかで迷う方も多いのではないでしょうか。
維持管理の負担や資産価値の変動を考慮すると、売却したほうが有利なケースも少なくありません。
また、売却には複数の方法があり、スムーズに進めるためには事前の準備が欠かせません。
この記事では、売却と賃貸の判断基準や売却方法、成功させるためのポイントについて解説します。

「売る」か「貸す」かの判断基準とメリット・デメリット

「売る」か「貸す」かの判断基準とメリット・デメリット

空き家を所有していると、その活用方法として「売る」か「貸す」かで悩まれる方が多いでしょう。
それぞれの選択には、メリットとデメリットがあり、個々の状況や目的に応じて最適な判断が求められます。
ここでは、それぞれのメリットとデメリットを解説します。

メリット

空き家を「売る」最大のメリットは、まとまった資金を得られることです。
物件の立地や状態によって売却価格は変わりますが、多額の収入が期待できます。
たとえば、数百万円から数千万円の売却益を得られれば、新たな住居の取得や投資、生活費など多様な用途に活用可能です。
売却後は、固定資産税や維持管理費から解放され、管理に伴うリスクも減らせます。
不法侵入や火災、災害時の被害に関する管理責任からも解放されるため、心理的な負担が軽くなるのも大きなメリットです。
一方、空き家を「貸す」場合は、定期的な家賃収入を得られる点が魅力です。
たとえば、月々10万円の家賃であれば年間120万円、10年で1,200万円の収入が見込める計算になります。
安定した家賃収入は、ローン返済や固定資産税の支払いなどを補うのにも役立つでしょう。
また、所有権を保持しながら活用できるため、自分や家族が将来的に住む可能性も残せます。
そして、人が住むことで物件の劣化を防ぎ、資産価値の維持につながります。

デメリット

空き家を「売る」場合、所有権を失うため、将来的に同じ物件を取得するのは困難です。
思い入れのある家を子どもや孫に譲れなくなる可能性もあります。
また、仲介手数料や登記費用などの諸経費が発生するため、手取り額が減少する点にも注意が必要です。
一方、「貸す」場合は、家賃滞納や近隣トラブルなどのリスクがあります。
また、修繕費用やメンテナンス費用も所有者の負担であり、空室が続けば収入が途絶えます。
そして、空室期間が長引くほど広告費や光熱費などのコストもかさむため、想定ほどの利益が得られないかもしれません。
さらに、正当な理由がなければ借主を退去させにくく、売却や自己使用を考える際に制約になる可能性があります。

空き家の売却方法

空き家の売却方法

空き家の売却を検討する際、「古家付きのまま売却する」「解体して更地として売却する」「リフォームして売却する」の三つの方法があります。
それぞれの方法には、メリットとデメリットがあるため、物件の状況や予算、売却の優先度などを踏まえて最適な方法を選ぶ必要があります。

古家付きのまま売却する

古家付きのまま売却する方法は、現状の建物を解体せずに売却することを指します。
これは、リフォームや解体の費用をかけずに売却できるため、資金面での負担が少ない点が大きな特徴です。
また、古民家などを好む買い手にとっては、建物の味わいをそのまま残すことができるため、魅力的な選択肢となります。
しかし、解体費用を負担するのは買主なので、その分を考慮した価格設定が必要です。
そして、古い建物が付いた土地は、同じ広さの更地より安くなる傾向があります。
ただし、更地にするための費用負担を売主が負わない点はメリットといえます。

解体して更地として売却する

空き家を解体し、更地にして売却する方法では、売主が解体費用や手間を負担する代わりに高値や早期売却が期待できます。
また、建物を解体した状態で1月1日を迎えると、固定資産税・都市計画税に適用される住宅用地の特例がなくなるため注意が必要です。
そして、解体費用は、構造や地域で異なりますが、木造なら坪単価3~5万円程度が相場です。
たとえば、50坪の木造住宅なら150~250万円ほどかかる可能性があります。
これらの費用を見積もり、売却価格と合わせて検討することで、最終的な収支を把握しやすくなります。

リフォームして売却する

空き家をリフォームして売却する方法は、建物の価値を高めることで売却価格の向上を狙うものです。
たとえば、水回りや内装を改修すると、物件の印象が大きく変わり、買い手に好印象を与えやすくなります。
また、キッチンや浴室などを新しくすると、家族で住むイメージを抱きやすくなるため、検討する方も少なくありません。
しかし、リフォームには費用と時間がかかるため、投資額を上回る売却価格が得られるかを見極めることが必要です。
そして、買主の好みに合わないリフォームをおこなうと、購入をためらわれるケースもあります。
くわえて、自分でリフォームしたいと考える買い手からは、改装前の物件を好まれる場合がある点にも留意しましょう。

空き家を売却する際のポイント

空き家を売却する際のポイント

空き家を売却する際は、いくつかの重要なポイントを押さえておくことが大切です。
とくに、境界の明確化、計画的な売却準備、物件の状態把握がスムーズな取引の鍵となります。

境界の明確化

境界線が曖昧だと、買主との間でトラブルが生じる可能性があります。
たとえば、土地の四隅にある境界標や杭を確認し、不明確な場合は専門の測量士に依頼しましょう。
そして、隣地所有者との協議をおこない、認識を一致させて書面で合意しておけば、後々の紛争を防ぎやすくなります。
また、不動産登記簿や公図などの公的書類を取得し、境界に関する法的裏付けを得ることも大切です。

計画的な売却準備

市場の動向や物件の特性を踏まえ、適正価格を設定しましょう。
たとえば、近隣の類似物件や取引事例を参考にすることで、過度に高い価格をつけて売却期間が長期化するリスクを抑えられます。
また、物件の清掃や必要な修繕、広告活動のスケジュールを明確にし、効率的に売却プロセスを進めることが大切です。
くわえて、内覧時には、買い手が物件の魅力を感じやすいように整理整頓をおこない、必要に応じてホームステージングを取り入れるのも有効な手段です。
また、売却活動が長引く場合は、価格の見直しや宣伝方法の変更など柔軟に対応できる準備も進めましょう。
そして、早めにプロカメラマンによる撮影やオンライン広告の拡充を検討するなど、効果的なアピール方法を模索することも重要です。
それだけでなく、信頼できる不動産業者を選び、地域の市場状況を把握しながら戦略を立てると、スムーズに買い手を見つけやすくなります。

物件の状態把握

建物の構造や設備の劣化状況を把握し、必要な対策を講じることは買主の信頼を得るうえで重要です。
そこで、専門家によるインスペクションを実施すれば、修繕が必要な箇所を明確にでき、物件の現状を正確に伝えられます。
また、外観や内装の清掃もおこない、長期間放置されていた場合は、雑草や汚れを除去して印象を良くしましょう。
そこで、シロアリ被害や雨漏りなどの重大な欠陥が見つかったとしても、早めに対応することで買主の不安を和らげることができるため、スムーズな取引につなげられます。
くわえて、必要な修繕を先におこなうか、現状渡しとするかについても検討し、買主のニーズに柔軟に応じる姿勢を示すと好印象です。

まとめ

空き家の管理負担や資産価値を考慮すると、売却を検討することで有利に活用できる可能性があります。
売却方法としては、古家付きでの売却、解体後の売却、リフォームして売るなど、複数の選択肢があります。
円滑に売却を進めるためには、境界の明確化や計画的な準備、建物の状態確認を事前におこなうことが重要です。