不動産売却の現状渡しについて!メリットや注意点も解説
不動産を売却しようとした際に、「現状渡し」という言葉を目にして戸惑う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
現状渡しとは、物件を修繕せず現在の状態で引き渡す方法で、売主・買主の双方に一定の利点があります。
しかし、契約内容や責任の所在について理解が不十分だと、取引後にトラブルが発生する可能性もあるため注意が必要です。
この記事では、現状渡しの基本的な意味や、具体的なメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
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不動産を売却するときの現状渡しとはどういうものなのか
不動産を売却するときに、「現状渡し」という言葉を耳にすることがあります。
これは、修繕やリフォームをおこなわず、現在の状態のまま物件を引き渡す方法です。
売主にとっては、改修費用をかけずに売却できる利点がある一方、契約上の責任範囲を十分に理解しておかないと、後に不測の事態が起きる可能性があります。
買主も、物件の不具合を引き渡し後にすべて自己負担で直すリスクがあるため、事前の調査や契約内容の確認が欠かせません。
以下では、契約不適合責任や告知義務など、現状渡しの取引で押さえておきたいポイントを見ていきましょう。
契約不適合責任との関係性とは
現状渡しを選んだからといって、売主が契約不適合責任を完全に免除されるわけではありません。
契約不適合責任とは、契約で合意した物件の状態と実際が著しく異なる場合に、買主が修補や損害賠償を請求できる仕組みです。
たとえば、雨漏りやシロアリ、建物の傾きなど重大な不具合がありながら、売主がそれを把握していながら隠していたと認定されると、現状渡しでも責任を問われるリスクは高くなります。
免責特約を付けていても、故意に事実を伏せていたとみなされれば特約自体が無効となる可能性があるため、売主は誠実な情報開示をおこなわなければなりません。
売主の告知義務は免除されるわけではない
現状渡しの売却形態でも、売主の告知義務がなくなることはありません。
過去の雨漏りや近隣トラブル、境界問題、設備の不備など、買主の判断に大きく影響を与える情報は、すべて伝えなければなりません。
仮に、知り得る事実を隠したと判断されれば、契約不適合責任の追及を受けるだけでなく、売却後のトラブルが長期化する恐れがあります。
物件状況報告書や付帯設備表を用い、売主が把握している情報を整理して漏れなく提供することが、リスク回避につながります。
買主が不備を指摘する恐れは拭えないため、売主は契約前に分かる情報を伝えることで、不信感を抑える期待ができるでしょう。
現状引き渡しでもトラブル回避のために契約内容は重要
現状渡しをおこなう場合、契約書に具体的な免責範囲や不具合の内容を明記し、売主と買主の認識を一致させることが大切です。
「現状のまま引き渡す」という一文だけでは、不具合の程度や箇所について解釈の食い違いが生じやすくなります。
インスペクション(住宅診断)を受け、その結果を契約書に反映させることで、後から「聞いていない」という紛争を防ぎやすくなります。
さらに、不動産会社や専門家の助言を受けながら免責の範囲を詳細に設定し、曖昧な表現を避けることが、現状渡しでの安心な取引につながるでしょう。
また、事前に不具合箇所を洗い出し、写真でより示しておくと買主の理解がより進み、契約内容への納得度も高まります。
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現状渡しをすることのお互い(売主・買主)のメリットについて
現状渡しには、売主と買主の双方に得られるメリットがあります。
この章では、それぞれの立場から具体的に見ていきましょう。
売主は修繕などのコストを抑えられる
修繕やリフォームにかかる費用をかけずに済むため、売主の金銭的負担は大幅に軽減されます。
とくに、遠方の物件や空き家などを管理しきれなくなっている場合、現場に行く手間や施工費用を省ける点が大きな魅力です。
相続した物件を急いで手放したい場合にも、費用負担を抑えながら売却できるため、時間とコストの両面でメリットを感じやすいでしょう。
ただし、修繕コストを先に負担することで高値で売れる場合もあるため、売却価格とのバランスを検討するのが大切です。
早期売却につながりやすい点が魅力
修繕作業やリフォームに費やす時間が不要なため、物件を市場に出す準備が早く整います。
転勤や住み替えなどで、できるだけ早く物件を売りたい方にとっては、スピーディーに売却活動を開始できるのは大きな利点です。
また、リノベーションを前提に物件探しをする買主も一定数いるため、あえて現状渡しの物件を好む層に訴求できる可能性があります。
また、売却前に工事をおこなわない分、予期せぬ遅れに左右されないため、売却でもスケジュール通りに進みやすいでしょう。
買取の場合は責任が問われにくいケースもある
買主が不動産会社や買取業者の場合、物件の状態を踏まえたうえで価格を決定し、購入後に自社でリノベーションをおこなうケースが多いです。
そのため、個人間取引ほど修繕リスクを強く追及されない場合もあり、売主の心理的負担が減る可能性があります。
ただし、重大な欠陥を故意に伏せていた場合には免責されるわけではないため、売主が誠実に情報を開示する姿勢は不可欠です。
また、不動産会社も利益を重視するため、物件の状態によっては買取価格が下がる可能性がある点に十分注意が必要です。
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現状渡しをすることによるお互い(売主・買主)のデメリット
一方で、現状渡しを選択することには、売主と買主双方に特有のデメリットも存在します。
最後に、その注意点を整理します。
売主が契約不適合責任を負う可能性は残る
現状渡しでも、売主が知っていた不具合を開示しないまま契約を結んだ場合、後に買主から損害賠償や契約解除などを求められるリスクがあります。
免責特約を設定していても、故意の隠蔽が発覚すれば特約自体が無効化される恐れがあります。
売主としては、インスペクションを活用して建物の状態を把握し、契約書への明確な記載や買主への正確な情報提供を通じて、リスクを最小限に抑えることが大切です。
買主側が調査をおこなった場合、売主が知らなかった問題が発覚するケースがあるので、対応ルールも決めておくと安心です。
買主側は修繕リスクを抱えることになる
現状のまま引き渡されるため、買主は引き渡し後に見つかった不具合を、すべて自己負担で直さなければなりません。
築年数が経過している物件や、設備が老朽化している建物では、予想外に大きな修繕費用が必要になるケースもあります。
契約前にインスペクションの結果を確認し、将来的に発生しうる改修費用も視野に入れた資金計画を立てることが、買主としては望ましいでしょう。
古い物件では屋根、配管目に見えない損傷が時々起こり、専門業者の意見を取り入れて修繕費を見積もることが重要です。
売却価格が相場より下がるケースもある
修繕費用を買主が負担する分、現状渡しの物件は相場より安い価格で取引される傾向があります。
大きな欠陥や雨漏り、シロアリ被害などが見つかった場合には、さらに値下げ交渉を受ける可能性が高まります。
そのため、売主としては修繕を省けるメリットと、売却価格の下落リスクを比較し、どの程度の妥協が許容できるかを検討することが大切です。
長期間空き家は敬遠されるので、現状渡しを選ぶ場合は早期に専門家へ相談して、売却計画を練ることが望ましいでしょう。
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まとめ
現状渡しは修繕負担を軽減できる一方で、売主買主ともに契約内容を正しく理解することが前提となります。
売主には契約不適合責任が一部残り、買主側も修繕費用のリスクを負う可能性がある点に注意が必要です。
取引後のトラブルを防ぐためにも、現状渡しのメリットと注意点を事前に確認しておくことが大切です。
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